委嘱状を手にした永井さん(左)と馳知事=2024年5月29日午前10時5分、石川県庁、樫村伸哉撮影
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 石川県輪島市出身の漫画家・永井豪さん(78)が29日、県の観光大使になった。市内の朝市通りにあった永井豪記念館は能登半島地震による大規模火災で焼失した。県庁で馳浩知事から委嘱状を受け取り、「いろんなアイデアを考え、ふるさとを支援したい」と語った。

 交付式で、馳知事は「永井さんの力を被災地の復旧・復興のシンボルとして生かしていただきたい」と協力を求め、被災地の現状を説明した。観光大使には松井秀喜さん、仲代達矢さん、川中美幸さん、島津悦子さんらが就いており、永井さんが25人目。

 永井さんは小学1年生の夏まで輪島で過ごし、東京の高校を卒業後に石ノ森章太郎さんのアシスタントになった。1967年に「目明(めあか)しポリ吉」で漫画家としてデビューし、翌年に発表した「ハレンチ学園」が大ヒットした。その後も、「あばしり一家」「デビルマン」「マジンガーZ」「ドロロンえん魔くん」「キューティーハニー」「けっこう仮面」などの話題作を送り出した。

 元日の地震から9日後、永井さんは記念館の焼失について、SNSで「多くの展示物が被害を受けたのではと思いますが、私は現役のマンガ家ですので、もし失われていたとしても、いくらでもまた描いたり作ったりすることが出来る」とつづり、県と輪島市に1千万円ずつを寄付。奇跡的に焼失を免れた「グレートマジンガー」のフィギュアは3月、東京駅近くで開業した県のアンテナショップ「八重洲いしかわテラス」でも展示された。

 永井さんは輪島での幼少期について、朝市に座り込んで魚の奇妙な顔に見入ったこと、家の庭に出てきたセミの幼虫に相撲を取らせたことや大きなつららでチャンバラごっこをしたことなどを挙げ、「そんな時間はのちの自分のアイデアにつながった」と振り返る。

 デビルマンとマジンガーZを宝石で飾った輪島塗のパネル2枚が最近、完成した。6月8、9日に帝国ホテル(東京)である展示会で販売し、売り上げを被災地に寄付する。永井さんは「いつか記念館を再開できればうれしいが、それは能登が復興してから。これからも思いつくたびにいろんなことをやって支援できたら」と話した。(樫村伸哉)

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